小田原漆器の起源は室町時代中期に箱根山系の豊富な木材を
使用し、木地挽きされた器物に漆を塗ったのが始まりと
されています。
その後、北条早雲より第3代、北条氏康が小田原漆器を
発展させるため塗師を城下に招き彩漆塗りの技法も用いるよ
うになりました。江戸時代には盆、椀などの日用品の他に武具類
にも漆を塗るようになり、江戸時代中期には継続的に実用漆器と
して江戸へ出荷するなど、箱根関所を要する東海道屈指の
城下町、宿場町として漆器つくりの技術が確立されました。
小田原漆器はケヤキ材などが持つ自然の木目の美しさを
充分生かした摺り漆塗りや木地呂塗りが主体の手作り漆器であり
ます。堅牢で素朴な手工芸品として御愛用戴きたいと存じます。
小田原漆器は昭和59年5月、通商産業大臣より「伝統工芸品」
として指定を受けました。
小田原漆器は室町時代以来継承されて
きました技術は、優れたろくろ技術
に生漆を幾度も摺りこむ技法や木地呂塗を
主技法とし彩漆塗を併用することにより
天然素材の美しい木目を際立たせた手作り
漆器であります。
ケヤキを主に使用しているので、堅牢でゆ
がみの少ないのも特徴のひとつです。
伝統工芸品ってなに?
昔から伝わる技術やいろいろなやり方で、職人さんが作りあげたもの、それが伝統工芸品です。
材料は自然にある物を使い、作り方の基本は百年以上前からずっと続いています。伝統工芸品は、できあ
がりの美しさや使いやすさで昔から親しまれ、愛されてきました。そして今でも多くの人びとに使
われ、私たちの生活になくてはならない大切なものになっています。
どんな道具をつかうか?
ろくろ機械をつかって木材を回転させ、製品の形に合わせた手作りのさまざまな刃物をつかって切削し、
形を成形します。ろくろをつかって木地を加工するのが挽物技術です。漆や刷毛や箆(へら)をつかって
塗ります。
伝統を守るのにどんな努力をしているか?
職人になるには長い年月が必要です。人によって違いますが、およそ10年かかると言われています。
ですから若い時から技術を習わないと伝統工芸の習得は難しいのです。組合では伝統工芸技術を守る
ために、後継者の育成や技術研修会を開いたり、常に新しい製品の開発研究に努力しています。